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どうやったら死ねるか?とか何とか

[2023.09.12]
最近受診した高齢の女性が面白いことを教えてくれました。同年代の友達同士で集まると、いつも「どうやったら死ねるか」という話になるのだそうです。高齢になってくると、あっちが悪い、こっちが痛いと何かとつらいことが増えてきます。もういっそのこと、さっさとお迎えが来てくれたらいいのに、というところからこの話題は始まったようです。
ちょっと想像してみてください。おばあちゃんたちが集まり、「寝ている間に逝ってしまったら最高やわ~」「やっぱコロリと死にたいね~」「毎日〇〇すると楽に逝けるらしいで」などと盛り上がっている姿を。ゾクゾクします笑。
それで、何かしらの妙案は見つかったのでしょうか。聞いてみたのですが、残念ながら今のところ結論らしき所には至っていないようです。だから毎回盛り上がれるし、外来にも通ってこられるということなのでしょう。良かった。
人はみんな死ぬのですが、なかなか死に方を選べません。(そもそも生まれ方も選べません。だから親ガチャなどという言葉が出てくるのでしょうかね。)でも、生き方は選べます。少なくとも生活習慣は。ピンピンコロリがお望みなら、できるだけ長くピンピン生き続けることに心を砕くしかありません。そうすれば、自ずとコロリはあなたのもとに転がり込んでくるでしょう。運が悪くなければ。
では、ピンピン生き続けるためにはどうしたらよいのでしょうか。以下にざっと書き出してみましょう。
①喫煙しない(喫煙は病気の一つ)
②大酒を飲まない(酒量が増えると寿命は縮む)
③できる限り運動する(運動不足はもはや病気の一つと数える)
④きちんと食べる
⑤生きがいを持つ
⑥社会性を保つ(独りぼっちで暮らさない)
⑦睡眠時間はしっかり確保 でも睡眠薬には頼らない(多くの眠剤や安定剤は転倒や事故、認知症のリスク)

生きがいを持つ、というのは、別に大それたことではなくて、要は楽しく生きるための何かがあるかどうかということです。さしたる趣味も持たず仕事ばかりしてきて、好奇心も少ないというような人がリタイヤすると、生きがいを持てずにいきなり老後が始まります。仕事を通しての交友関係なんて、退職してしまえばあっという間に希薄になってしまうものが大半なのでしょう。やることがないから、やたらと奥さんを付け回すようになり迷惑がられる・・・よく外来で奥様方が愚痴っていらっしゃいます。心当たりのある方はくれぐれもお気をつけて。
仕事が生きがいで、生涯仕事に明け暮れるというならそれも良いのでしょう。もうやめときなよ、と思うような政治家の方々が、いつまでも矍鑠とご活躍されているのは、ひとえに生きがいのなせる業なのかもしれません。
政治家と言えばかのベンジャミン・フランクリンも、精力的に活動し84歳まで長生きしています。もっとも彼は好奇心の塊みたいな人でもあり(たぶん)、様々な実験や発明もしています。そんな彼も「飽くほど食うなかれ 酔うまで飲むなかれ」などとフランクリンの13徳の中で言っています。やはり節制は生きていく上で大事だと看破していたのでしょうか。
フランクリンの13徳とは、「道徳的完全に到達する大胆で難儀な計画」を遂行するための信念だということです。節制の他にも
・誠実:詐りを用いて人を害するなかれ。心事は無邪気に公正に保つべし。口に出すこともまた然るべし
・正義:他人の利益を傷つけ、あるいは与うべきを与えずして人に損害を及ぼすべからず
などというものもあります。素晴らしいですね。(参照:全面的にウィキペディア)
ところでベンジャミン・フランクリンは当初、印刷業を営んでいました。経営状況が今一つのある時、彼は経営状況を劇的に改善させる大胆で難儀な(たぶん)計画を思いつきます。それは、ライバル関係にある印刷屋の経営者の死亡広告を出すというものでした。果たしてこの計画はまんまとうまくいき、ライバル会社は立ち直ることができなかったとか・・・まったくどの口が誠実とか正義とか言ったのでしょうか。いえ、同じ口です。だからこそ彼は政治家としても成功を収めたのでしょう。
そういえば最近、会社のホームページを勝手に改ざんして、閉店したかのように書き換えるという手口が流行っているようですが、インターネットを介してやっているというだけで、手法は1700年代と一緒なんですね。ぜんぜん進歩してないじゃん笑
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