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キッザニア 仕事探しの前に?

[2025.04.16]
「パパは将来何になりたい?」
今日も唐突に難問を突き付けてくる小学生の次男。さては父のことを、まだサナギかヒヨコぐらいにしか思っていないのだな。
「いや、将来と言うか、今もうすでに結構がんばって仕事しているんだけど・・」
「それで?」
「うん、だから、もう今からバスケの選手とか無理だし、他にあんまり特技とかないし・・あとはおじいちゃんになるくらいかな」
「ふーん・・それでいいんだ」
「うっ・・・」
今日も軽く一球で打ち取られた感じがしてならない。

どうやら学校で、将来なりたい職業、を聞かれたみたい。みんなサッカー選手とかユーチューバーとかお菓子屋さんとかって言ってたよ、とのこと。で、君は?
「えー、まだわかんないよ。メッシとかハーランドとか好きだからサッカー選手って答えておいたけど」
本気じゃないんだ、その答え。まあ、まだたっぷり時間はあるから、そんなこと気にせず好きなことをしたらいいよ。

ところで大人って、なぜ子どもに将来なりたい職業を聞きたがるのでしょう。小さい頃に答えた通りの仕事についている人の方が圧倒的に少ないでしょうに、それを答えさせるのは、大人が何かしらを期待してのことなのでしょう。
もちろん社会を形成する上で、それぞれが何らかの役割を担わないといけないものです。今の世の中で食べていくには、大半の人は何かしらの職業に就かなければなりません。でも、そんな大人のつまらない規範を、本来そんな縛りのない自由な子どもに当てはめて答えさせることのどこに喜びを見出すのか、さっぱりわかりません。それにユーチューバーとか仮想通貨のトレーダーなど、私たちが子どもの頃には考え付きもしなかったようなことを生業にしている人もたくさんいるわけで、今ある職業だけから選んで働くことを考えさせることに、たいした面白さはないように思います。
でも、この「将来何になる?」を大人に聞くというのは面白いと思いました。少なくともウチの子にとっては、今の私はまだ中間形態で、この先まだやりたいことをやるんでしょ、ということのようです。まあ、その答えは「遊んで暮らす」であり、きっと多くの人がそう考えているのではないかと思っていました。しかし、私は間違っていたのかもしれません。

”大人のキッザニアが大人気”
何年か前のことですが、私はこのニュースの見出しを驚愕の思いを持って読みました。まだ働き足りないんだ。他の仕事までしてみたいなんて勤勉な人が、一人や二人ならいざ知らず、殺到するほどいるとは。
こんな私なので、子どものキッザニアにも、「まあ、おままごとって楽しいよね~」というぐらいの感想しか持ち合わせていません。ままごとは基本的に子どもにしか許されない遊びです。しかし大人だってままごとしたい!と思っている人は、世の中にゴマンといるのかもしれません。その方々は、普段は決してその思いを口に出すことはせず、立派な大人のふりをして日々をやり過ごしているのでしょう。「つまらない今の仕事から解放されて、たまには他の仕事もしてみたい」「炎上商法を生業にしているけど、本当は火消しになりたかった」職場では間違っても口に出せないそんな思いを、心の裡に長年溜め続けている人も多いのかもしれません。そんな大人たちを、”大人だってままごとしていいんだよ” ”本当は他の仕事がしたかったって言ってもいいんだよ” と、日の当たる場所へ大人キッザニアは解き放ってくれたのでした!
・・それほど大げさなものではないのかもしれませんが、大人でもままごとは楽しいのでしょう。その仕事を今後毎日やるかどうかは別として。本当に就職・転職を考えるのであれば、キッザニアで体験できる美味しいところだけではなく、その陰に隠れがちな本当のところも知っておく必要があるでしょう。

医師の長時間勤務は以前から問題でしたが、長い間問題視されずに放置されていました。大人のキッザニアでも教えてはくれません。つい最近まで1日勤務⇒当直(あまり眠れない)⇒1日勤務、という働き方が普通で、きついけれどみんな耐えていました。年配の医師の誰に言っても、大変だよね、でも昔からそうだったし、としか言ってもらえず、変わる雰囲気はまったくありませんでした。大学病院では残業が当たり前でも、研修医に給料が雀の涙ほどしか支払われず、それ以外の医師でもサービス労働が基本でした。都立病院ではほぼ毎日休みなく出勤するのですが、月に16日しか勤務していないことにされ、その分しか給料も支払われていませんでした。労働に見合った対価が支払われないことも問題ですが、一つのミスが文字通り致命的になる職場での長時間労働は、やはり大きな問題と言わざるを得ません。
しかし研修システムが変わり、まず研修医の立場は劇的に改善されました。ただ、その分は研修医以外が担うことで成り立っていたのですが、それでも良い方向へ変わり始めたのは歓迎すべきことです。そして近年では医師の働き方改革と銘打って、大きな病院の医師の労働時間制限制度が導入されました。しかしそれはまだまだ抜け道が作ってある緩いもので、長時間残業をしても良いとされている人もいますし、研鑽のためと称して、業務とは見做されないが実質的には業務を課されるなど問題は多いようです。また他の職種へのしわ寄せが問題となっている病院もあるようです。
何の話でしたっけ?そうそう、キッザニアです。こんなにいろいろ書いておいて今さら言うのは少し憚られますが、ここは意を決して言っておきます。
ウチの子ども、キッザニアが大好き
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