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副腎が疲労する?(まさか!)

[2023.07.28]
「元気?」という挨拶を私たちはよく使います。たいてい返事は「うん、元気だよ」「ぼちぼちだねー」「お金はないけどね」といった感じになります。特別大きな病気を患った時でもなければ、あえて「元気がないんだよ」「疲れが取れなくてね」「通帳残高が少な過ぎて」などとは言いません。でも、その言葉の大半は真に受けてはいけないようです。
疲労についてのアンケート調査の結果(日本リカバリー協会! 初めて知りました)によると、元気であると回答した人は2割だけで、あとの8割は疲れている・慢性的に疲れている、と回答しています。つまり「元気だよー」という人も、実のところそのほとんどが「疲れた人」なのです。
普通に考えると若者ほど元気で、年をとるほど元気がなくなっていくような気がします。しかし興味深いことに、アンケート結果では20代から40代までは「元気だよ!」と答えた割合が15%程度しかいません。しかし50代からはその割合が増え、70代に至っては4割近くが「元気!」と答えています。若い時の方が仕事でこき使われるためとか、寝る間を惜しんで遊んだりゲームやネットに浸るからなのでしょうか。高齢になるほど「疲れが抜けなくて」などという人が多い印象でしたが不思議なものです。
そんな人生にくたびれた8割の人の中で、疲労の原因なのでは、とじんわり広がっているものがいくつかあります。それは「低血糖」「(男性)更年期」、そして最近は「副腎疲労」なんてものまであります。更年期は、中高年女性にとっては古典的と言えるほどのものかもしれませんが、近年は男性の更年期というものも注目されるようになりました。これには男性ホルモン値を中心とした診断基準と、診断された場合のホルモン補充療法なども(それなりに)確立されています。女性では、よくわからないものに「更年期じゃない?」と自分で、または周囲に使われる、良くも悪くも便利な言葉として定着しています。しかしこのアンケート結果から分かるように、更年期にさしかかることから男女とも元気になっていく人が実際は多いようです。
副腎疲労とは、近年どこかの誰かが(多分海外の人)言い始めたもののようで、それっぽく聞こえるのでにわかに広がりを見せているようです。しかしほとんどの人は、「副腎が疲労する」ということがどういうことかよくわからないまま使っているのでしょう(それは別に悪い意味ではなく当然。私だってFRBがまた利上げしたからねー、なんて言ってみたりするけどそれがどういう意味を持つのかきちんと説明できない)。そして内分泌に詳しい大半の医者は、「そんなわけねーじゃん」と思って聞き流していることでしょう笑。そう、副腎(だけでなく甲状腺などそれ以外の内分泌臓器も)はそんなに貧弱にはできていません。もちろん副腎機能不全という病気はあります。しかしこれは血液検査で診断でき、治療も可能な病気です。それには当てはまらないけど、副腎が疲れているからあなたは疲れているのです、などということはまず起こらないはずです。最近は「副腎疲労」に対する治療としていろいろなサプリや点滴を提供している自費診療もあるようですが、なかなかのお値段のようです。信じる者は・・という言葉もありますが、私ならそのお金で旅行にでも行くでしょう。生活習慣を改めるように盛んに促していますが(それ自体は大賛成!)、それで改善するものならそもそも生活習慣が悪かったと言えるものなのでしょう。特定の食べ物や食事スタイル(グルテンフリーなど)を勧めているものもありますが、そんなものはまずありえないと考えるべきでしょう。
また書きすぎてしまった。あー、疲れた笑
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