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激辛はお腹もホットに

[2021.07.01]
辛いものに目がないという人が誰の知り合いにも数人はいるのではないでしょうか。(きっと辛いものに目がない人の周りにはたくさんいるのでしょうけど。)この人たちは激辛麻婆豆腐や激辛カレー、蒙古タンメンなどの暖簾をくぐっては日夜精進していると考えられます。もともと辛くない料理に、持参した唐辛子を振りかけて食べている人もいるとか。おそらくは時として、いや、毎日でも猛烈にあの刺激が恋しくなるのでしょう。どんなものでもそうですが、一部の人はさらなる刺激を求めて禁断の地へ足を踏み入れてしまいます。 先日お腹が痛いとある若者がクリニックを受診しました。問診票の「いつから?」という欄には「トウガラシを食べてから」と書いてあります。ちょっとした激辛料理とかハバネロでも食べちゃったのかなと思い診察に入ると、ハバネロのかなり上を行く話を聞かせてくれました。その若者はもともと辛いものが好きで、興味本位からキャロライナ・リーパーなる辛さのトップ3を争う唐辛子を買ってきて料理に振りかけて食べたそうです。どうなったか。その場ですぐに悶絶して倒れ込み、その後も腹痛や下痢、頭痛といった症状が続いているということでした。 辛さの感じ方は人それぞれです。一般的に言って激辛好きな人は、辛さへの耐性が高い(鈍いともいえる)のでしょう。唐辛子の辛み成分はカプサイシンですが、これは熱いとか痛いといった感覚を起こす神経のスイッチを入れます。辛いものをHot(ホット、熱い)と表現しますが、あながち間違っていない、というよりむしろ正しいと言えそうです。この神経のスイッチは口の中だけでなく、消化管全体に存在しています。辛いものを食べた時にお腹が熱くなる感じがするのはそのためなのでしょう。カプサイシンは少量なら胃の粘膜を保護する方向に働きます。しかし大量であったり刺激が強すぎたりすると胃腸の粘膜を荒らし、痛みや下痢を起こします。 辛すぎる食べ物は、口の中が痛くて辛くて何を食べているかわからなくなります。実際にカプサイシンは塩分に対する知覚を鈍らせてしまうことが言われていますし、そのほかの繊細な味や風味を楽しむゆとりは残されていないでしょう。こう考えると激辛を追い求めることは、旨さよりも刺激を追い求めることなのだと言えそうです。しかし行き過ぎは危険ですらあることをこの若者は身をもって教えてくれています。 とはいえまったく辛くないタンタンメンも麻婆豆腐もカレーも許せません。これを書き始めたら食べたくなって陳麻婆豆腐を求めて中華料理屋に・・・汗が止まらん
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