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お腹空いてる?~ファスティングの勧め~

[2022.01.20]
まだ子どもだった頃は、ご飯の前になると強烈な空腹感を感じていたことを記憶しています。お腹が空くと母親が料理している台所に行き、メシはまだかと催促すると同時に何かつまみ食いできるものはないかとウロウロしていました。何かの都合で食事が遅れるとき、例えば父の帰りが少し遅くなる時は待っていなければならず、そんな時には空腹に耐えかねて「ハラ減った~」と騒ぎ立てていました。そう、食事は楽しみであり、待ちきれないものだったのでした。

近頃では子どもの頃のような強烈な空腹感を経てからの食事ということは少なくなり、どちらかというと時間が来たから食べるということが多くなっている気がします。もちろんお腹が空いていないということもないのですが、それよりも今のうちに食べておかないと後で食べられないからとか、みんなが今食べるから自分も一緒にといった、いわゆる社会的な食べ方に囚われていることの方が多いのでしょう。

お腹が空くということは、実は意外と大事なことなのです。そして空腹を健康に利用しようと意図的に行うのが断食とかファスティングと呼ばれるもので、身も心も頭も空っぽにするやつです。ここで「知ってる知ってる~、デトックス的なやつでしょ」などと思ったあなた、それは大間違いです。

デトックスについてはまた別の機会に譲るとして、ではファスティングは何が良いのかというと、体重が減る、心血管病の予防につながる、寿命が延びる、といった効果が期待されることです。空腹を感じるような、摂取エネルギーが少ない状態を繰り返すことが、代謝や脂肪蓄積に関わるインスリン、レプチン、甲状腺ホルモン、副腎ホルモンといったホルモン分泌を変化させます。また細胞内でエネルギーを生み出すミトコンドリアの機能を高め、その酸化も軽減することが言われています。こういったことなどから(これだけではないのですが)体重減少、インスリン抵抗性の改善、血圧の低下、脂肪肝の改善、心機能改善などが起こると考えられます。

ファスティングと言っても、断食道場にひと月籠るといういうわけではありません。間歇的ファスティングという、定期的に摂取エネルギーを大幅に減らすというやり方が一般的です。その方法も様々で、数日間何も食べずスープやお粥から戻していくもの、1日おきに何も食べない日を設けるもの、1日のうち16時間食べないようにするものなど、ウェブで検索するとありとあらゆるものが出てきます。これらの効果を実際に調べた小規模な研究がいくつもあります。それらをまとめて解析した最近の報告によると、体重減少や代謝的な面での改善に効果的なのは、1日おきまたは週2日、完全な断食ではなく普段食べているカロリーの4割までに抑えるという方法のようです。週に何日かは、少しお腹を空かせて生活するというくらいが丁度良いようです。

一時期、持続的なカロリー制限(カロリス)が寿命を延ばすのではないかともてはやされていましたが、最近の研究からは持続的な制限より間歇的な制限の方が続きやすく、効果的であると考えられてきています。でもこれをみんながやったら、冬眠明けの熊みたいな人が常にあちこちでウロウロしているって感じになるのでしょうかね
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