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お酒と健康

[2018.08.06]

お酒は百薬の長と(酒飲みの間では)言われて久しいですが、実際のところは薬のように利益をもたらす量というのはあるとしても相当狭い範囲のようです。
最近発表された研究結果によると、中年期に飲酒をやめた人は年をとってから認知症になる可能性が高くなるのだそうです(そらみたことかという、快哉を叫ぶ酒飲みの声が聞こえてきそうですが)。ところが1日にビール350ml一缶以上のアルコールに相当するアルコール飲料を飲む人にも同様のリスクがあるのだそうです。多くの酒好きにとって、そんなものは飲んだうちに入らない程度のものでしょうが、無情にもデータはそう示しています。
実は心血管病や死亡率についても、その程度の量から上はリスクが高くなることが言われています。こちらに関しては少量の飲酒が薬になるというデータと、少量の飲酒であってもやはり毒であるというデータが混在しており、議論が決着するまではもう少しかかりそうです。
人生の途中で飲酒をやめるという決断には、往々にして動脈硬化のリスクが絡むようです。脳梗塞や狭心症を患ったからとか、糖尿病や高血圧、脂質異常症といった病気が出てきたから飲酒をやめるという意味です。お酒をやめるという決断が(特に大量に飲酒する人について)悪いわけではないのですが、その時点ですでに認知症や心血管病のリスクがある程度高くなっている人が多いということが言えます。
お酒が多ければ多いほどこれらのリスクが高くなることは、目をつぶりたくなる人も多いでしょうがやはり現実です。またたまにしか飲まない人でも、飲む時は多量に飲酒してしまう人も同様にリスクが高くなります。お酒がコミュニケーションツールだと考えている人もいるでしょうが、今どきの若者にそれを押し付けるとまず間違いなく嫌われます。酔っぱらうまで飲む人は転倒や事故、トラブルに巻き込まれる可能性も高くなります。「あの人、飲んでいなければ良い人なのに」というのはよく聞く言葉です。
お酒の歴史はかなり古くから始まっており、それを上手に楽しんだ人の影には、お酒で身も心も滅ぼした人も数知れずいることでしょう。そういった理由も含め歴史の中で様々な場所や時代でいわゆる「禁酒法」が作られたようですが、そんなもので飲酒の習慣が絶えることはなく、また今後も飲酒の楽しみは引き継がれていくのでしょう。人に迷惑をかけなければどれだけ飲むのも自由ですが、現在の医学的見地からすると1日に缶ビール1缶程度にしておくべきのようです(しかも350ml缶で)。またお酒を飲まないことややめることに呵責を感じる必要はないと言えるでしょう。

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