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お金は決してキレイではない

[2017.10.05]

この題名をみてドキッとしたあなた・・・大丈夫、安心してください。衛生の話です。
昔から言われているように「お金を触ったら手を洗え」というのは、やはり大事なことのようです。しかし小さい子に、お金は汚いという話をしても、なかなか受け入れてはもらえません。それは汚いということが、目に見える汚れが付いているとか、変な匂いがするといったことから判断するためでしょう。ともすれば我々大人もそのきらいがあります。
オランダのレーウェンフックが1600年代に顕微鏡を発明するまで、我々は小さな世界を知らずに過ごしてきました。14世紀のペスト(黒死病:ペスト菌による感染症)の大流行などでも、その当時原因を知ることは不可能でした。しかしその後の感染症の概念の発達と、原因となる菌を(近年ではウイルスも)観察できる時代となり、衛生という考えが非常に大事であることがわかるようになりました。
たとえ肉眼で見えなくても、そこには無数の菌やウイルスが住む世界があるのです。我々の体の表面も胃腸の中も菌だらけです。今座っている椅子にも、目の前の机にも菌はたくさんいるはずです。しかしそれを気に病む必要はありません。そこに病気を起こす菌(病原菌)が常にたくさんいるわけではなく、通常私たちはこれらの菌とうまく付き合って生きています。
日常の中で私たちが努めて手を洗う機会があります。それはトイレに入った時と食事の前です。トイレでは病原菌に触れる機会が多いため、それを持ち出さないために手洗いをする必要があります。また我々が病原菌に感染する経路として圧倒的に口から入るものが多いため、食事の前に手を洗うことが大事なのです。
お金はたくさんの人の手に触れます。人の手はいろいろな状況にあり、ついている菌も様々です。またお金はいろいろな場所に置かれ、保管され、時には濡らされたり汚されたりもします。お金の汚され具合をみた研究は様々ありますが、大半のものに害のないよくある菌(常在菌)の他に病原菌かそれに近いものが見つかるということが報告されています。紙幣であれば金額の低いものの方がより菌がたくさん見つかるのだそうです。また硬貨は紙幣以上に菌が付いており、それは”トイレ以上”の汚れ具合ということもあると言われています。
だからといってお金を触るたびに手を洗うことは現実的ではありません。しかし少なくとも食事前や食事中に触らないことや、病気で弱っている入院患者さんなどはその扱いに気を付けることは大切だと言えます。どんなにお金が好きでも口に入れるのはやめましょう。
クレジットカードなら安心、と思った人もいるでしょうが、残念ながらカードもそれなりに汚染されていると報告されています。

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