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たばこと肺癌・・?

[2017.02.22]

「喫煙者は減っているのに肺癌は増えている。たばこと肺癌は本当に関係あるの?」という趣旨の発言を現役閣僚がしたと報道されていました。受動喫煙対策が進まないどころか、いまだにたばこを吸いながら会議をやるような政党の議員ならではの発言です。
かつては高かった喫煙率は確かに低下しており、これは非常に良いことですがまだまだ不十分といえます。たばこ=肺癌、という図式を思い浮かべるのは、まず最初にその疫学的関係が示され注目を集めた病気だからでしょう。実際には肺癌だけでなく口や鼻、喉、食道、胃、肝臓や膵臓といった臓器の癌も喫煙が増やしてしまうことが数々の研究から判明しています。
喫煙者が減っているのに肺癌が増えていることの理由はいくつか考えられます。まず喫煙の影響が10-20年の間をおいて、肺癌という形で出てきていることがあります。たばこをやめると肺癌のリスクは、たばこを続けた時よりも明らかに減りますが、それでももともと吸わない人と同等までは減りません。他には遺伝的な要因や、大気汚染などによって発症する肺癌が増えていることなどが、このような結果を生んでいると考えられます。ですので喫煙率が低下しているこの先は、たばこが原因となる肺癌というものは減っていくのでしょう。
たばこがもたらすのは癌だけでなく、動脈硬化というものがあり、こちらが大変問題なっています。動脈硬化が進むと脳梗塞や狭心症、歩けなくなるほどの足の血流障害などを起こすことになります。高血圧や糖尿病、コレステロールの異常も動脈硬化に加担しますが、喫煙もまた間違いなく関係します。
他にも最近広告で目にすることが多くなったCOPDという、苦しくて歩けなくなる肺の病気はたばこをやめない限り進みます。酸素ボンベを携帯することになるのですが、最終的には少し動くだけでも息切れがしてしまうようになります。
喫煙者は喫煙していい理由を、嫌煙家は喫煙の害悪をそれぞれ探すのでしょうから、喫煙者であるその閣僚の発言は一般人のそれと大差ありません。そんなことを人に聞いて回るより、がんセンターのホームページ見れば済んだのにね。

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