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ぼちぼちインフルエンザ?

[2018.09.06]

酷暑の夏が過ぎ、少しずつ秋の気配が感じられるようになってきました。となれば、もうインフルエンザのことが医療関係者の間では語られ始めます。そんな気の早い!と思うでしょうが、例えれば真夏のうちから秋物の洋服が店頭に並ぶのと同じようなものです(たぶん)。
昨年はワクチンの製造・出荷が大幅に遅れたため大混乱をきたしました。今年はさすがにそんなことはないだろう、と考えるのが普通ですが、ワクチンを製造販売する会社の都合次第なので現時点では何とも言えません。昨年のように、ワクチンが少ないと聞いてから慌てて走り回るのではなく、11月くらいに打つように計画しておくと良いのでしょう。インフルエンザのワクチンは、他のワクチンに比べると効果は低い部類に入りますが、できるだけ多くの人が打つことで集団としての効果を発揮します。くれぐれもネット上に出回るエセ科学に惑わされないように。
現在日本で受けられるインフルエンザのワクチンは注射タイプの(不活化)ワクチンですが、米国には鼻粘膜吸収型の(生)ワクチンもあります。後者は痛い思いをしなくて済むので一部の注射好きな人以外にはきっと好まれると思いますが、まだ日本で認可される予定はなさそうです。このタイプのワクチンは米国で何年か使われたのですが、その効果が懐疑的であるとしてここ数年は使用が制限されていました。ただ最近報告されたデータでは、効果は注射のものと大差がないとされていますので、今後は普及が進むかもしれません。
インフルエンザの治療薬も少しずつ変化してきています。まず、タミフルの10代に対する使用制限がなくなりました。以前に言われていた異常行動はタミフルによるものとではなく、インフルエンザ感染自体によるものという解釈です。いずれにしろ罹ってしまったら注意が必要であることは間違いありません。
近年では1日吸入したらおしまいというイナビルが多く使われています。内服を続けるという面倒くささがなく、確実に治療薬を摂取できるという利点があります。さらに今年から1回の内服で済むゾフルーザという薬も使えるようになりました。これらはどれも症状緩和までの時間に大差がありませんが、ゾフルーザは今までの薬と作用機序が異なるためか、早くにウイルス量が抑えられることが示されています。1回の内服なので吸入薬よりさらに確実に薬を摂取することができます。
インフルエンザの流行はまだ先だと思いますが、流行期の前にワクチンを打つ、調子が悪ければ休む、手洗いをきちんとする、といったことがみんなでできれば大流行は避けられるかもしれません。

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