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仮想より現実を楽しもう

[2018.07.18]

先日、ゲーム障害というものが一つの病気として扱われるようになるという発表があり、しばらく世間をにぎわせていました。ゲームを自制することができなくなり、日常の生活に支障をきたす状態が続く場合にこのような診断となるようです。
ゲームを中心に、仮想現実(VR)がいかに現実に近づき、ともすれば超えられるかということが研究され、様々な商品として開発されてきています。これらはただ単にゲームとしてだけでなく、脳や四肢などの機能に障害を持つ人のリハビリや補助的な機器として利用されているものもあります。
しかし最近では、特に都会暮らしの人にとって野山で遊ぶことや畑仕事、広いグラウンドでの球技といったことの方が手に入りにくい現実となってきています。ゲームではたいした練習をしなくてもそれなりに遊べてしまい、スマホやパソコンからどんな情報でも得られ、全能感にあふれた今の状況では、わざわざ現実の困難を伴う遊びなど興味はなくなるのかもしれません。
通勤途上の大人たちの大半がスマホに目を落としています。ネットでニュースを読んだりゲームをしたり誰かとやり取りしたりとやることはいくらでもあり、時間が足りないくらいです。これは子どもたちも同じでしょう。グループLINEでのやり取りに遅れまいと常に気にしていなければならず、気になる人のFaceBookをチェックし、合間に大好きなゲームもしなければなりません。
最近報告された海外の研究で、こういったソーシャルメディアのどっぷりとつかっている子どもは注意欠陥多動性障害(ADHD)になる確率が高くなることが示されています。また睡眠不足や眠れなくなることも言われています。逆に体をよく動かして遊ぶ子どもは学力が付くことが示されており、また少し危ないと思われるような遊びをする子どもは、スリルを楽しみつつもそこからリスクの回避方法を学ぶのだそうです(最近の公園では危ないからという理由で遊具を撤去してしまうようですが・・)。
特に子どものうちには、仮想ではない現実の感覚を楽しんでほしいものです。うまくできずに悔しい思いをしたり、多少のスリルを味わったりということが、身体的なだけでなく脳の健康的な成長にも非常に重要であるのだと思います。今の子どもたちにスマホやパソコンを触らせないという選択をすることは、現実的にとても難しいでしょう。しかしどこかで区切りをつけて、外の現実世界にただき出すのも親の務めです。そこかわり子どもの顔を見た瞬間に「宿題やった?」と聞くことはやめておきましょう。生身の人間とあれこれ会話することも、子どもにとってとても大事なのですよ。

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