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動脈硬化の検査

[2018.01.30]

アメリカ大統領であるトランプ氏の健康問題が取り沙汰されていました。彼はスタチン(LDLコレステロールを下げる薬)とアスピリン(血液サラサラの薬)を服用しているそうですが、冠動脈石灰化スコア(狭心症・心筋梗塞の予測因子)が年々上昇しているそうです。体格指数(BMI)も29.9と欧米人では肥満の半歩手前(欧米では30以上で肥満。日本を含むアジアでは25以上で肥満)であり、体重は少し多すぎるのではないかと指摘されています。物議をかもす言動の数々から精神的な不安定さも一部で危惧されていますが、健康診断の結果は身体的にも精神的にも”非常に良好”(excellent)なのだそうです。それでもまったく動かない生活を改め、ある程度減量することに同意したと報道されていました。
日本では首相や閣僚に対してここまで健康状態を公にすることは求められません。確かに何代か前の首相はインタビュー中に一過性脳虚血発作のような症状を呈し、その数日後に脳梗塞で倒れています。このことは政治に多少の混乱も招いたことは確かでしょう。しかし健康状態はあくまで個人的な範囲のことと捉える人が多いのでしょう。
一国の代表であっても、その健康状態を公にしなければならないとは思いません。自身の健康は自身で気を付けていただき、公務継続が無理だと考えるなら辞めるのは仕方のないことです。少なくとも健康状態をあげつらい、それを政争のネタにすべきではないでしょう。それよりももっと議論しなければならないことが国会にはたくさんあるはずです。
ところでトランプ氏も気にしている動脈硬化は我々現代人が最も恐れるものの一つとなっています。脳梗塞や心筋梗塞を起こす人は、世界的に見て相当な数に膨れ上がってしまいました。年をとれば動脈硬化は自然と進みます。衛生環境が整い長寿社会となれば動脈硬化による病気がある程度増えるのはやむを得ません。しかしそこに喫煙、糖尿病、高血圧、脂質異常といったものがあると動脈硬化は早く進み、結果的に若くして脳梗塞や心筋梗塞を起こす人が増えてしまします。また動脈硬化は手足にも起こりますし、腎臓も悪くしてしまうという全身性の病気でもあります。
ここで大事なことは動脈硬化が早く進むことは予防できることです。自身がどのような動脈硬化のリスクを持っているかを良く知ることは大切な一歩です。その上で現在自分がどのような状態にあるかも知る必要があります。健診で行う血液検査や心電図はいろいろな情報を与えてくれます。またそれ以外にも様々な検査が動脈硬化の探索に行われます。中でも簡便なのがABIという、腕や足の動脈の狭窄や閉塞を調べる検査です。中年以降で糖尿病がある人や、タバコがやめられない人はこの検査を受けることが勧められます。
国の代表と言えばニュージーランドの首相は現在妊娠中で今年出産予定なのだそうです。いろいろ大変な思いはするかもしれませんが、なんだか素敵なことですよね。

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