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味覚

[2017.09.14]

人が識別できる味には甘味、苦味、塩味、酸味、うま味の5つがあるということは、多くの方がご存知かと思います。味を主に感じるのは舌ですが、ここに味蕾というセンサーがたくさんあります。子どものころはセンサーの数が多く、10歳前後から徐々に減ってくるといいます。子どもが大人より味に敏感なのは、一つにはこのためなのかもしれません。しかし味蕾の数でいったら牛やウサギのような草食動物の方が多いですし、ナマズなんかは格段に多く持っています。このような動物が相当なグルメということはなさそうで、おそらくは毒物をより鋭敏に感知する必要があるのか、または他の機能を持ち合わせている可能性が考えられます。
私たちが食べ物を味わう時には、舌の味蕾だけを使っているわけではありません。食べ物を口に入れる前に、まず鼻の穴から匂いが入ってきてこれを感知します。また食べ物が口に入ると、今度は口の奥から鼻の奥の方へ様々な匂いが上っていきます。これは風味と呼んでいるものです。鼻が詰まっている時に食べ物がいまいち美味しく感じられないのは、鼻への空気の流れがないために食べ物の匂いや風味が感じられないためです。
匂いや風味は鼻の奥にある嗅球というセンサーで感知され、脳へ送られます。ヒトの嗅球は犬などに比べ割合的に小さいため、人は匂いにあまり敏感でないと長い間考えられていました。しかし近年の研究で、ヒトも犬に劣らないくらいかなりの種類の匂いを識別しているということがわかってきています。風味を作り出しているのは数多くの化学物質の組み合わせのパターン(何万という数)であり、その微妙な違いを感知できていることからもこのことは正しいと言えるでしょう。
子どもの方が味には敏感であったとしても、いわゆるグルメになるのは大人になってからです。それはいろいろな食べ物を「楽しむ」ためには、学習が必要だからと考えられます。本来は毒や腐敗の可能性を教えてくれる苦味や酸味も、身近な人の教えや自分の経験により食材によっては大丈夫なものだということを覚えていきます。そしてそういったものを次第に深い味わいとして楽しむようになっていきます。また以前に食べたものと、その時の気持ちや出来事と組み合わせて、食の好みも出てくることが言われます。
味蕾についても、舌だけでなく消化に関わるいろいろな臓器にあることがわかっています。その一部はホルモンの分泌と関わることが判明していますが、まだまだ分からないことがたくさんあります。言えることは、私たちが食べ物を口にして「美味しい!(または、やばい!)」と言った時には、それは舌の上の話だけでは終わらないということです。

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