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歩く脳は老けにい

[2019.05.07]

連休に小学生の息子を連れて、やはり小中学生の子どものいる友人家族と屋久島の縄文杉を見に行ってきました。縄文杉は屋久島の山の奥深くにありますが、登山道は基本的に整備されていて、ただ最後の数㎞の山道は少し大変という感じです。そこに至るまでの距離は長く、往復で22㎞ほどあるそうです。これは新宿から府中あたりまでに相当すると言われると、先に聞いていれば歩かなかったかも、と思ってしまうような距離です。
山あり谷ありなのは道のりだけでなく、子どもたちの気分もまた然りです。特に疲れてくると不平不満はより一層強まり、「たかが杉1本見るためにこんな苦労を・・」などと喚きながら、それでも歩き続けるしかありません。
確かにこんな苦労をしなくても、もう少し少ない運動量で健康になれるようです。「1日1万歩」などと昔から(前回の東京オリンピックの頃から)言いますが、これ自体に科学的根拠はなかったものの、この程度の運動が健康維持に役立つという報告は数多くあります。ある程度の速度で歩くことができれば、ということにはなりますが。
運動は体だけでなく心や脳にも良い影響を与えます。子どもの成績などは、勉強時間よりも体を動かす時間により比例するという報告もあります。遊びの中で多少のスリルを味わい、自らで対処するということも、子どもの発達には大きく役立ちます。抑うつ感も減ることが知られています。大人でも、軽い運動だけしかしていなくても、していない人に比べると脳は大きく、脳の年齢も平均して数年若いことが最近報告されています。
ようやく縄文杉に辿り着いた時、ほぼすべての大人は感動するか、または少なくとも感動するふりをします。それは自分がしてきた努力を否定したくないという思いと、周りの同じ境遇にある人への気遣いからくるのでしょう。しかし子どもは違います。「ちっちぇー」「感動とかぜんぜんしないんだけどー」「早く帰ろうぜー」周囲を憚らず口から溢れ出す率直な言葉の数々。ガイドさんは「長年やってきたけどこんな言葉は初めて聞いた」と大笑いしていました。
疲れた記憶だけが強く残っているのかもしれないけれど、ブーブー言いながら歩いて転んでいるその間に、君たちの脳みそと心も少し育ったのだよ。

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