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睡眠時間

[2017.03.03]

春の気配が日に日に増していますが、それでも朝の冷え込みはまだ強く、いつまでも布団の中でぬくぬくとしていたいこの頃です。春眠暁を覚えず、などと言いますから、これからの時期はさらに布団から抜け出すのに苦労するかもしれません。花粉症でアレルギー止めの薬を飲んでいると、さらに眠気を感じることが多くなる人もいます。
野生のゾウは1日のうちに2時間程度しか眠らないのだそうですね。長い時で丸2日ほどは起きていることもあるとか。寝る間を惜しんで何かをしたい人には羨ましいことかもしれませんが、人間にこのような生活パターンを強いるのは拷問と言えます。睡眠時間やパターンに生物間の差があることとはいえ、多くの生き物にとって眠ることはとても大切なことです。
赤ちゃんのうちは眠っている時間の方が圧倒的に多く、パターンも一定化していません。そのうちにまとまった時間で眠るようなパターンが定着してきます。それでも幼児期には1日の半分かそれ以上の睡眠時間が必要です。幼少期の睡眠は、脳の発達や体の成長に大きな影響を及ぼすと考えられています。睡眠がしっかりとれていないと、記憶や学習の障害がみられたり、感情のコントロールがつかなくなったりします。また食欲に関係するホルモンの変化などから肥満をもたらすことが、子どものみならず大人でも指摘されています。
私たちの多くは昼に活動し夜に眠るという昼行性の活動パターンを持ちます。これは生物学的および社会的な影響によるものと考えられます。体内時計によるリズムの研究などからも、夜にしっかり寝て早起きするというパターンは理にかなっているようです。昼夜逆転やシフト性の業務に就く人では健康障害が多いというデータもあります。
現代人は眠らなくなった、という文言を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。しかしこれが本当なのかははっきりしません。例えば中世のヨーロッパでは真夜中に1回起きて活動し、その後にまた床に就くということが習慣としてあったと言われています。こうなると実質の良好な睡眠時間はどの程度だったのか不明です。また明かりがなかったり、得られにくかったりした時代には暗くなったら寝ていたのでは、と考えるのは早計といえます。現在も古来からの生活を続けている部族などでは、暗くなると屋外での活動は少なくなるものの、だからと言ってすぐに寝るわけではないことが報告されています。睡眠時間も我々と大差ないようです。
しかし真夜中でも明かりも食べ物も娯楽も手に入れられる私たちは、睡眠時間をきちんと確保することに心砕くべきでしょう。夜中に効率の落ちた頭でいろいろやるより、早起きしてすっきりした気分でやる方がきっと充実していますよ。

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