メニュー

筋トレが脳を救う

[2022.08.23]
高校時代にしばしば友人らと授業を抜け出し(良い子はマネしちゃだめだよ)フラフラしていました。授業中に教室以外でばったり顔合わせてもとやかく言う先生はほとんどいない学校だったのですが、ムキムキの体育の先生だけは別でした。
高校は坂の上にあり、玄関を出て下っていくと一番低い位置に柔道場がありました。つまり正面から堂々と(?)抜け出す時には、柔道場の前を通っていくことになります。たまたまその先生が柔道の授業をやっている時に柔道場の前を通り過ぎようものなら、「おい!お前らどこに行く?」「・・いや、ちょっとそこまで・・」「授業中のはずだろ?何の授業だ?」などなど柔道そっちのけでこちらを気にかけてくれます。仕方がないので走って強行突破するか、はたまた一度戻るふりをして隙を見てこっそり出かけるかという数少ない選択肢をフル活用せざるを得ませんでした。「体育の先生は頭が固いな~」「カラダ鍛えすぎて脳ミソまで筋肉になってるのかも」なとど悪態をつきながら。
実は筋トレすると脳ミソまで筋肉になります。・・・嘘です。しかし筋トレや運動は間違いなく脳に良い影響を及ぼします。運動は精神的に安定させ抑うつを軽減しますし、子どもでは学力を伸ばします。そして筋肉量は将来的にあなたの認知症のリスクを左右することになりそうです。
最近発表されたカナダでの研究に、高齢者の筋肉量と認知機能の低下について調べたものがあります。ここでは体組成を測定し、その後3年間での認知機能の変化を調べています。結果は筋肉量が少ないほど認知機能、特に金銭管理したり買い物したりといった日常生活に必要な実行機能の低下が早いことが示されています。
でもなぜ筋肉が脳の機能に関係するのでしょうか。単純に考えれば筋肉量が多いということは、よく運動しているということになります。このことは脳を含めた全身の血流を良好にすると考えられます。もちろんこれだけではなくて、BDNFなど筋肉を使うことによって分泌される様々なホルモンが脳の健康に役立っていると考えられます。また神経細胞や血管に対する糖化の抑制や、血圧を安定させることなども良い影響を及ぼすことでしょう。
つまり、あれから30年ほど経った今でも、高校生たちは柔道場の前を通って抜け出すのに苦労している可能性が高いということです(⁉)。もうずいぶんといいお歳とは思いますが、きっと耄碌などしてはいないのでしょう。筋肉を侮ってました。ごめんなさい、先生!
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME