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細菌のお話

[2016.12.28]

細菌と聞くとどんなイメージを思い浮かべますか?多くの人は汚くて悪さをするバイ菌をまずは思い浮かべるのではないでしょうか。もちろんそれも間違いではないですが、そればかりとは限りません。
細菌とは通常目に見えないほど小さなもので、地球上のありとあらゆるところに住んでいます。そう、ありとあらゆるところ、例えば岩の中や深い海の底、氷山の下なんかにもみられるというのですから驚きです。哺乳類が誕生するずっと前から細菌は存在していましたし、現在この地球上で数や種類が最も多い、すなわち繁栄しているのは細菌と言えます。
私たちと細菌はもちろん無関係ではありません。むしろ細菌がいなければ私たちは存在が危ういとさえいえるかもしれません。細菌は私たちの周囲のいたるところにいますし、私たちの体の表面にもたくさんくっついています。そしてそれ以上に私たちの体の中に住んでいます。それは主に大腸や胃などの消化管にいます。その数はおよそ100兆個と考えられており、人間の細胞の数より多いことになります。
こんなにもたくさん細菌が住んでいるからといって、私たちは普段細菌の存在をお腹に感じることはありません。ですが細菌はただいるだけで何もしていないわけではなく、消化吸収や免疫に役立っていると考えられています。私たちが生きていく上でなくてはならない存在なのです。
もう一つ、腸内細菌は人それぞれ異なるバランスで成り立っています。大まかには地域や民族で特徴づけられますが、肥満した人とそうでない人や、病気の有無などによって違いがみられることがわかっています。腸内細菌の違いが肥満や病気の原因なのか結果なのかはっきりはしませんが、おそらくは少なくとも一部は原因となっているだろうと考えられています。肥満したマウスの腸内細菌をやせたマウスに移植してやると、受け取ったマウスは肥満してくることなどがその証拠です。
腸内細菌は一生不変というわけではありません。食事や抗生剤の投与などによって少なからず変わる可能性があります。まだまだ分からないことが多いところですが、極端な肉食やハム・ソーセージなどの加工食品をたくさん食べること、不要な抗生剤の服用などは少なくとも避けるのがお腹に優しいことだと今のところ言えそうです。

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