メニュー

続・食育 牡蠣とシャンパン

[2021.01.21]
前回、野菜に即席めんを砕いて散らし出来合いのタレをかければ子どもが大喜びで野菜を食べる!というのは食育ではないと書きましたが、しかしここにも食育のヒントとなるものはあります。

なぜ牡蠣にシャンパンが合うのか?多くの人は経験的にこのような組み合わせの妙を知っていますが、理論的に説明するのは難しいものです。こういったことを突き詰めて考え、いろいろな組み合わせに拡げていくのも食育の一つでしょうし、普段の食事にも役に立ちます。まあしかしこの組み合わせは日本の保育園や小学校の食育ではやらないでしょうが・・・(フランスならあり得るのかも)。

シャンパンにはうまみのもととなるグルタミン酸やアスパラギン酸の他、様々なアミノ酸が含まれます。これらはビンテージが古くなるほど熟成され増える傾向にあります。これらの成分は他のスパークリングワインではあまり多く含まれないようです。ただ、シャンパンに含まれる程度の量のうまみは通常私たちの舌では感知できません。一方で牡蠣にはグルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸、アデニル酸といったうまみ成分やそのほかのアミノ酸がしっかり含まれます。牡蠣はそれだけで十分美味しいのですが、普段私たちが口にしているマガキよりもヨーロッパヒラガキの方が、こういったうまみ成分を多く含むようです。

ご存知の方も多いかと思いますが、グルタミン酸とイノシン酸やグアニル酸などは一緒に働くことで相乗効果を生み出します。つまり少ない量でより強く・長くうまみを感じることができるのです。ここで牡蠣を食べた後にシャンパンを飲むことを想像します(もう我慢できない!)。牡蠣は飲み込んでしまった後でも、口の中には若干のイノシン酸などが残っています。そこに待ってましたとばかりにシャンパンが流れ込むと、シャンパンのグルタミン酸と口の中のイノシン酸の協働などによりグッとシャンパンのうまみが引き立つのです。またそのほかのアミノ酸もシャンパンの甘味を引き立て苦味を抑えるのに役立っているようです。(という研究結果が2020年末に発表されていました。)

即席めんと野菜の組み合わせが美味しく感じられるのはパリパリとした歯ごたえや風味の他に、うまみ成分やアミノ酸などの添加で、よりうまみを引き立てることができるからなのでしょう。そう、野菜が体にいいからと言って、キャベツの千切りだけを食べさせようというのは無理があり、何かしら美味しく食べさせる工夫は必要なのです。そのためにはたとえば以下のような方法があります。

①味噌やチーズといった、それ自体に強烈なうまみがあるものと一緒に食べる

味噌を野菜につけるだけでもそこそこ野菜が食べられてしまいます。これらはいつものドレッシングに混ぜ込んでもいいですし、パルメザンチーズを削ったり砕いたりしてサラダに散らしても良いでしょう。

②グルタミン酸+イノシン酸、といった組み合わせでうまみを引き立てる

野菜にはそこそこグルタミン酸が含まれるものが多いので、そこに動物性たんぱく質を加えるというイメージでしょうか。シラス、ツナ、茹でたり炒めたりしたエビや貝類、刺身のマリネ、ひき肉のそぼろ(塩味でも味噌味でも醤油味でも)など、少し入るとだいぶ雰囲気は変わります。キャベツとアサリなどは軽く酒蒸しにしてもおいしいですよね。 ③食感を楽しめるように

チキンラーメン以外にも手はあります。野菜は3種類以上使うとそれぞれ違う食感や風味があるので楽しめます。ナッツを荒く砕いてのせるもの良いでしょう。面倒ですがフライドオニオンなどでも。

④レモン、すだち、ヨーグルト、オイルなどなどいろいろ組み合わせて香りや風味を変える

こういったことを子どもと一緒に考えながらやらせてみるのも良いかもしれません。自分で作ったというだけで、結構食べるものですし。(チキンラーメンキャベサラダにも同じようなことが書いてありますが笑)
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME