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血糖コントロールと合併症

[2017.07.18]
糖尿病のコントロールというと、まず思いつくのがHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)でしょう。これは2か月程度の血糖値の平均に左右される値で、糖尿病のコントロールの指標となる便利なものです。血液検査でわかります。血液検査と聞くと、朝ご飯を食べずに空腹で病院に行かなくては、と思う人も少なくないでしょうが、これは食前後で値が変わらないため、どのような状態でもチェックできます。正常値は5.5%まで、6.5%を超えると糖尿病が強く疑われます。糖尿病のコントロールとしては、一般的に7%を下回ることを目標に治療します。 なぜ7%なのか。糖尿病には特有の合併症があります。それは目、腎臓、神経の機能を損なうものです。高い血糖値が長く続くほどこれらの合併症は出てきやすく、また悪化していきます。これらが進んでしまうと視力が著しく悪くなる、人工透析が必要になる、足のしびれや痛みに悩まされるといったことが起こるため、生活の質がとても悪くなってしまう可能性があります。これらの合併症、特に目や腎臓の機能低下は、A1cが7%未満で経過する人ではあまり起こらないことがわかっているため、ひとまずの目標を7%を超えないこととしています。 今までに世界で行われてきた大規模な研究結果をまとめて見てみると、5年を超える長期間の治療では、よりしっかりとA1cを下げるように目標を置いた人の方が目や腎臓の合併症が出にくいことが示されています。もちろん高齢の人に低血糖のリスクを背負わせてでも一生懸命治療しましょう、ということではありません。ただ若い人はA1cが6%近くを保つような目標を置き、しっかり治療することに利益があるということでしょう。 最近は低血糖のリスクが少ない治療の選択肢もだいぶ増えています。いつか良くなるかも、という気持ちは良くわかりますが、それでもしばらくデータが改善しないままなら、治療の強化をぜひ相談してみましょう。
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