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足のむくみ 蜂窩織炎は予防できるかも

[2020.08.20]
むくみを訴える方はたくさんいます。時々は若い人でもいますが、年齢を重ねると頻度も高くなるようです。若いころは自分がむくむことなど、(飲みすぎた翌日以外には)考えられませんでした。しかし病院の中を行ったり来たりする生活から外来業務中心で動かない生活になったある日、自分の足がむくんでいることに気づいて驚いたことをよく覚えています(オッサンになったんだなと)。

夏場は水分をたくさん摂るからとか、冷たいものを食べたり飲んだりするから、といった理由でむくみやすいというようなことをしばしば見聞きしますが、それが本当かどうか定かではありません。実際のところ水やジュースをたくさん飲んだところで普通の人ならむくむことはまずありません。塩分についても、健康な人が少し多めに摂ったとしても尿から排泄される量が多くなるだけで、すぐにむくみにつながるということはなさそうです。

むくみは血管の中でも細胞の中でもないところに水分などが溜まってしまった時に起こります。体に何も悪いところがなくても多少むくむことはよくあることです。生理前だったりお酒が過ぎたりということもむくみやすさにつながります。1日座っていると夕方には足がむくんでくるというのも年を取るにつれ顕著になります。息切れなど他の症状がなく、一晩寝ると朝にはほぼすっきりなくなっているようなものであればあまり心配いりません。

検査や治療が必要になるむくみの代表的なものとしては心不全や腎臓病が挙げられます。実際、日常の診療でこれらはしばしば見つかります。むくみがひどくて改善しない、歩くと息切れがする、食欲が落ちてしまっているといった症状もあるようなら必ず病院を受診しましょう。むくみが治らないといって受診し、糖尿病を長らく放置したために腎臓が悪くなっていて、そのためのむくみだったという症例にも時々出会います。

甲状腺ホルモンが足りない場合にもむくみが出るとされます。この場合には下半身や全身が(むくんで)パツパツした感じがする、という表現をされる方が多いように思います。体重も増えやすく減りにくいと感じるようです。そんな時にはぜひ受診していただくことをお勧めしますが、検査の結果甲状腺機能が正常だったとしても、その結果を伝える医者を悪く思わないでください。体重が増え、顔や体がパンパンになったのは別の原因・・・そう、おそらくは食べ過ぎとか・・

片足だけ急に痛みが出てむくんでしまった場合には静脈血栓症なんかを疑います。整形外科的な病気や感染症という可能性もありますが、いずれにしろ早めに受診することが勧められます。

慢性的にむくんでいるときに、その部分の皮膚の下に細菌感染を起こすことがしばしばあります。これを蜂窩織炎などと呼びます。抗生剤などで治療するのですが、むくみがあるため薬が効きにくかったり再発を繰り返したりします。最近の研究によると、むくんでいる足を弾性ストッキングなどで圧迫しておくと蜂窩織炎の再発が6割以上抑えられるそうです。お金も危険性も少なくて済む予防法ですので試してみる価値は大いにありそうです。
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