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食べる速さと体重の関係

[2018.02.14]

早食いは肥満のもと、と言われると感覚的に正しいような気がします。テレビで見る早食い・大食いの人たちは太っていない人が多い気もしますが、それはまた別の問題として・・(そんな番組はもはやほとんどありませんが)。身近な人で大柄な人を思い浮かべてみると、やっぱり食べるのが早い気がするなあ、なんて思うかもしれません。
最近、日本人の糖尿病患者さんで食べる速さと肥満の関係を見た研究が発表されていました。結果は早食いの人に肥満が多く、少数ですが経過を観察できた人については食べるのが遅くなった人たちには肥満も減ったそうです。このことから早食いは肥満のもとであり、食べるのを遅くすることで肥満が解消できるかもしれないという結論になっています。ただしこの研究では食べる速さを、速い、普通、遅い、の3つから自分で選ぶようになっており、何分間で食べるという客観的な指標は使われていません。
食べる速さと体重の因果関係は少し難しいところがあります。まず体重が多い人は、その分たくさん食べることになります。普通に生活していると、例えば昼休憩など食事に使える時間は限らており(平均は20分強)、みんな十分とは言えない時間の中で食事をしています。その状況で、体重が少ない人よりも多い量の食事を食べるのであれば、食べる速さは速くなるのが普通です。この場合食べる速さが速くなったから体重が増えたのではなく、体重が増えたから食べるのも速くなったのだと言えます。また食べる速さを自己申告するという点でも難しさがあります。自分が果たして早食いなのか、それとも遅いのか。自分では普通だと思っているが、同じ速さで食べる隣の人は自身を早食いと思っているかもしれません。時間を測って3群に分ける以外に客観的に示すものはなく、今までの経験による主観や普段一緒に食べる人との相対的な評価によるところが大きくなります。しかしフルコースや飲み会でもない限り、食事にかかる時間は分単位(10-30分程度)の短い時間に多くの人が収まるはずです。その中で例えばラーメン1杯を同時に食べ始めて終わるのがたった1-2分違うだけでも、片方が速いもしくはもう一方が遅いという印象が強く残るでしょう。
早食いが良いと言っているわけではありません。理論的に早食いは肥満にも糖尿病にも良くないものだと考えられます。また食事は香りや食感を楽しみ、いろいろな物を味わうものですし、誰かと一緒に会話を楽しみながらゆっくり食べられるとより良いものになるのでしょう。学校給食ではいまだに「時間内に食べ終わる」「好き嫌いをなくす」「残さない」ことを目標に掲げているところもあるようですが、この「食育」が将来の歪んだ食習慣の起点になっているのかもしれません。

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