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食中毒

[2017.04.11]

ノロウイルスやウェルシュ菌、ボツリヌス菌などによる食品からの健康被害が立て続いて報道されていました。被害が重篤であったり、大規模であったりすると報道されますが、そうならない程度の個人的な「食あたり」体験は非常に多くあちこちで起こっているはずです。しかし私たちの多くは普段、食品に対してそこまで注意を払って食べてはいないでしょう。またこういった報道を目にした直後は気にしたとしても、そのうちについ忘れがちになるものです。
今回のノロウイルス集団感染の原因は刻み海苔だとされています。多くの人が意外に思ったのではないでしょうか。食中毒というと湿っていて生暖かい場所でバイ菌が増えて起こるのでは、と。確かに細菌にはそういったものが数多くいます。しかしウイルスは細菌とは違います。乾燥した食品や器具などにくっついてじっとしており、どこかの細胞に入り込んだ途端に増殖し悪さをします。
細菌は熱に弱いものが多いのは事実です。高温で死滅するものもいますし、そうでなくても増殖が抑えられるものもあります。また非常に低い温度でも増殖を抑えられるものが多数あります。しかしウェルシュ菌やボツリヌス菌は特殊な形で存在しているものが多く、沸騰する温度で加熱しても死滅させることができません。煮込み料理などで一旦冷ますときにゆっくり冷ましてしまったり常温に放置してしまったりすると、その間に菌が一気に増殖します。また菌によっては毒素をたくさん作って放出するものもあります。こうなってしまうと食べる直前に再加熱しても食中毒は避けられません。対策としては作ったらすぐに食べるか、冷ますのなら急速に冷却すし、冷蔵もしくは冷凍で保存する必要があります。
実は料理本(レシピ集)の多くは、こういった衛生的な見地からの説明や注意書きが不十分であると指摘されています。生食用の食材と加熱用の食材を、直接的だけでなく間接的にも(まな板や包丁などを介して)接触させないことや、手や食品をこまめに洗うことは非常に重要です。また「〇度で〇分間加熱しましょう」という文言や、「肉汁が透明になったら」といったもの、見た目や臭いといった主観的な判断基準は、料理が安全に食べられるようになるには不十分です。上に書いたように冷却や再加熱についても注意が必要です。私たちはクックパッドから衛生管理を学ぼうとは考えませんが、そこを踏まえて料理をしなくてはいけないということなのでしょう。

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