メニュー

果物が眠りを誘う 良い睡眠のために

[2023.02.14]
5歳の息子を寝かしつけるときの話。絵本を読み聞かせ、おやすみと言って明かりを消すと、しばらくしてからケタケタと笑い声が。「僕楽しい夢ばかりいっぱい見るんだよ。」2日前の夜はうなされていたよ、とは言わずに「それは良かったね。おやすみ。」しばらくするとまたウフフと楽しそうな笑い声が。「僕、今ダイナマイトの夢を見ていたの。うふふ」・・・息子が健やかに育つことを願ってやまない日はない今日この頃です。
子どもは大抵あっという間に寝付いてしまいます(私はそれをも上回ることがしばしばありますが・・)。それが大人になり、年をとるにつれ寝付けない、途中で起きてしまう、ぐっすり寝た気がしないという人が増えてきます。年をとればこんなものでしょう、と気にしない人は良いですが、昔はこうではなかった、もっと眠れるはず、という思いが強いと現実のとギャップが埋まらずつらい思いをすることになります。
内科にも眠れないという訴えの人は時々やってきます。多くは以前にどこかでマイスリーやレンドルミン、ハルシオンといった睡眠薬を処方され、それを続けたい、できれば増やしたいという人です。旧来のこういった睡眠薬(やデパスなどの抗不安薬)は、意識がプツっと途切れるように眠れるので知ってしまうと癖になってしまいます(いつ寝たかわからないので怖いと思う人も)。言うまでもなくこれは不自然な眠りですが、これが普通だと思ってしまうと睡眠薬を手放せなくなりますし、少し薬が効かななくなってくるともっと強い薬を、ということになってきます。以前はこれらの薬の負の側面があまりわかっていなかったので医師は気軽に処方していました(今でもたくさんいるようですが)。しかしこれらの薬は脳内に残存してしまうため、(自分では薬が切れてしっかりしていると思っていても)事故を起こすことや転ぶことが増え、認知症になるリスクも高まることがわかっており、これらの薬剤の使用には慎重になるべきと厚労省もFDA(米国の厚労省みたいなところ)も警鐘を鳴らしています。
最近ある方に甘平(かんぺい)という愛媛の新しい品種のミカンをいただきました。ミカンと言ってもミカンとオレンジの交雑種で、清見オレンジの孫みたいな存在です(という表現が正しいかどうかよくわかりませんが)。皮が薄くて剝きやすく、果実は酸味が少なくツブツブしていてとても美味しかったので、すぐにネットで探してポチっと購入してしまいました。なぜ果物?と思うかもしれませんが、実は果物や野菜の摂取と睡眠は無関係ではありません。地中海式ダイエットと呼ばれる、野菜や果物、豆類たっぷり、魚介類や低脂肪の肉類、オリーブオイル、全粒穀物の組み合わせで食べる人や、低GI食(血糖値が上がりにくい食事)を食べる人は良く眠れているという研究結果が示されています。果物をたくさん食べることで睡眠が改善するというデータもあります。食事が睡眠に影響を与える要因はいくつか考えられます。一つはメラトニンとトリプトファン、セロトニンです。メラトニンは眠気をもたらす物質で、体内ではトリプトファンからセロトニンを経て生成されます。果物などの食品から摂取されるこれらの物質が脳内のメラトニン濃度にどの程度影響を与えるのかは未知ですが、それでも無関係ということでもなさそうです。他にも果物や野菜などの健康的な食品が腸内細菌を整えたり、炎症反応を抑えたりする可能性が指摘されています。
時々、「果物には果糖がたくさん含まれているから」体に良くないとか太るとかいう心配をしている人がいます。しかし果物に含まれる果糖は糖分のうちの多くても半分くらいのものでしょうし、果物には糖分だけでなく水分、繊維、ビタミンやミネラルなどがたくさん含まれています。糖尿病の人を含め、果物が体を害するということはまずありません(果糖がいけないというのは清涼飲料水に含まれる糖分(果糖ブドウ糖液糖)からきています。確かにこちらは肥満や糖尿病を増やします)。安心して果物を食べ、泥のように眠りましょう。
ここ数十年の果物消費量を見ると、バナナの独り勝ちで、他の果物は少しずつ減ってきています。バナナは低価格で、甘味が強く、剝きやすくどこでも食べられる、と人気者になる条件を兼ね備えています。先ほどの甘平をこれと比べると、値段はちょっと高め、味は最高、剥きやすくどこでも食べられる(ジューシーだけど液だれは少ない)と、一歩及ばす。しかし最近ではブドウのシャインマスカット人気からもわかるように、多少高くても美味しいものを食べようという人が多くなっています。きっと近いうちに人気になります、甘平ちゃん。(愛媛の誰かから甘平が箱で送られてくる気がしてならない笑)
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME