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血糖値の上がりやすさ(GI値)と心血管病

[2021.04.08]
GI値というのはご存知でしょうか?Glycemic Index(グライセミックインデックス)の頭文字で、食品を摂った時にどの程度血糖値が上がりやすいかという指標になります。精製された糖質はGI値が高くなるので、砂糖や白いパンは特に高いですし、白米もそこそこ高くなってしまいます。しかしいくらGI値が高いと言っても、パン屑をついばんだり米を一粒食べたりしたくらいでは血糖値は上がりません。そこで食品のGI値×実際に食べたその食品の炭水化物量=GL(Glycemic Load)も重要な指標となります。どちらの数値も、大きいほど血糖値が上がりやすいと考えます。GI値やGL値が高い食生活を送っている人は糖尿病になりやすいというのは理解しやすいと思います。ただそれだけでなく、GI・GL値が高い食品を多く摂る食生活は肥満や心血管病も増やすということが報告されています。

GI値の難しいところは、似たような商品でもそれぞれ異なることが挙げられます。例えばシリアルやグラノーラはどれも似ていますがGI値は商品ごとにかなり差があります。また同一の食品であっても調理法や調理時間、一緒に調理するものによっても変わってきます。精白された小麦粉でパンを作ればGI値は高くなりますが、パスタにすればGI値は下がります。パスタでも製品や茹で時間でもさらにGI値は若干変わってきます。食材の組み合わせを考えるときりがありません。わかりやすいところでは、酢を加えるとGI値は低くなります。

最近患者さんが、「妻がみそ汁でも何でも酢を入れる」とこぼしていました。特にGI値を意識しているわけではないようですが、酢は健康に良いからと多用されているようです。酢がGI値を下げることは示されていますが、たくさん摂ったから健康になるということもそうは期待できないかと思います。

酢には昔から健康的なイメージが付帯しているのでしょう。酢のものは体に良いからと出される機会が多々ありましたが、今でも給食の酢の物の不味さを覚えています(というか、私はただ酢のものが苦手なだけ笑)。私が子どもの頃は、酢を摂ると体が柔らかくなるなんてことも言われていました(肉を酢で煮るのとはわけが違うと思うのですが・・)。また一時期には健康のために酢を飲むというのも流行りました。そういえば高校生の頃に教わった京都大出身の化学の先生は、「酢を我慢してわざわざ飲まなくても、お酒を飲めば体内で代謝されて酢になるのに」と鼻で笑っていましたっけ。後者の方をだいぶ熱心に実践されていたようですが、まだ元気にしていたらいいな。
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