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よくわからないけどすごそうなもの(GLP-1製剤とかなんとか)

[2023.11.03]
6歳の息子曰く「✖✖ってさー、すごいんだよ」
(聞いたことないけど、人の名前でもなさそうだけど、とりあえず話に乗っておこうかな)「へー、そうなんだ」
「だって、めっちゃ強くて、めっちゃかっこいいんだよ」
「おー、それはすごいね」
「でしょー」と目をキラキラさせる息子。その後✖✖についての賛辞や羨望の言葉がしばらくやみません。
と、しばらくの沈黙ののち、ややあって、息子「でさー、✖✖って何?知ってる?」

いったい何であったのかは今もってわかりませんが、なんだかすごいもののようです笑。どうやら友達から聞いた話を、そのまま家で開陳した模様ですが、本人も友達にその場で聞けなかったのでしょう
よくわからないけどすごそうなものって、よくわかっているものよりも魅力的だったり脅威だったりしますよね。詐欺とか宗教とかはこのあたりの心理をうまく利用しているのかもしれません。すごい会社の未公開株があるだとか(ほんとにあれば他人になんか教えるもんか!)、寄付をしないと地獄に落ちるとか(まだ誰も行ったことがない。もっとも、宗教団体に搾取されて生き地獄を見ることはしばしばあるようですが)。
最近患者さんがよく話題にするのは、「すごい糖尿病の治療薬が、ダイエット用に使われ過ぎて手に入らなくなっているらしいね」という話。おそらくGLP-1受容体作動薬が、美容系クリニックでダイエット目的に自費診療で使われ過ぎて、それを必要とする糖尿病患者さんに不足をもたらしているという報道がなされているからだと思います。実際のところは糖尿病患者さんへの需要も予想以上に高く、メーカーの製造が追いついていなかったというところもあるのでしょう。
テレビなどのニュースはGLP-1製剤のことをよく知らない人たちが作って報道するため(当然のことで、仕方のないことですが)からか、この話題を話してくれる患者さんのGLP-1製剤に対するイメージは、実際のものとかけ離れていることが多い気がします。すげーダイエット薬、とか、すげー危険なダイエット薬、といった具合に。事実としては、GLP-1製剤はかなり優れた糖尿病治療薬で、少し体重も減らすことができます。体重を減らす目的で使うのであればそれなりに多い量が必要になります。またGLP-1だけでなく、GIP、グルカゴンといったホルモンにまで作用する製剤の方が、効果はより大きくなります。そんな効果をもたらす薬だから、危険な副作用がたくさんあるかというと、そんなことはありません。吐き気や便秘、下痢といった消化化の症状は出やすいですが、ゆっくり慣らしていくことで対処できることが多いようです。他にも胆のうや膵臓などに影響を及ぼすことがありますが決して多くはありません。美容系のダイエット目的での使用に賛否についてはともかく、海外のみならず日本でもGLP-1製剤の肥満症への使用が認可され始めています。大きく肥満した人がこれらの製剤で体重を減らすことができれば、糖尿病の予防にもなるでしょうし寿命も延びることでしょう。
健診で体重が多く、糖尿病とまではいわなくてもその予備軍になっていると、体重を減らすように言われると思います。そんな人は体重が減るとすべてが元通りに、という印象がありますが、実際には5%以上減量に成功した人でも血糖値が正常化するのは半数くらいのもののようです。その違いは何かというと、最近報告された研究によると、ダイエットが成功した時に血糖値も正常化する人は、内臓脂肪が減り、インスリンの効きが改善しているのだそうです。これを叶えるためには、相当大幅にダイエットするとか、たくさん運動するとかってことになるのでしょう(もちろん体質の違いはありますが)。近いうちにそんな人たちにもこういった製剤が役立つ日が来るのかもしれません。
私はお酒が弱く、ワインにも詳しくありません。ワインの説明って、独特の世界観があるけど、皆さんはあれで満足なのでしょうか。最近見た中で一番??&%#$!となったのはこんな文章でした。白ワインの説明なのですが(以下原文のまま引用)「白いスパイス、ダージリン、グァバ、ミカンの香りがあり、極上の塩ラーメンを思わせるような旨みに郷愁の念を催した」とのこと。よくわからないものに「なんかすごそう」と思うのは私も一緒ですが、さすがにこれをポチッとする勇気は・・・。極上の塩ラーメンねぇ
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