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昆虫を召し上がれ?

[2017.11.27]

多くの人は、お肉をまったく口にしない日はほとんどないのではないでしょうか。牛肉、豚肉、鶏肉からハムやベーコン、ソーセージといった加工肉まで、何かと料理に使われています。学校給食の献立を見ても、肉類が入らない日は月にほんの数日しかありません。
近年の欧米での研究では赤肉と言われる牛肉、豚肉、羊肉などを日常的に食べることは、動脈硬化性の病気(心筋梗塞や脳卒中など)を増やし、寿命も縮めることが指摘されています。ベーコンなどの加工肉はそれに輪をかけて悪さをすることも言われています。
このようなことを踏まえ、現在欧米を中心に健康食として推奨されている食事(地中海食)では、赤肉の摂取は月1-2回程度にするようにとされています。では蛋白質は何から摂るのかというと、豆やナッツなどの植物由来のもの、乳製品、魚介類、鶏肉(赤肉には含まれない)といったものが勧められています。
近年、お肉を食べることは環境的な面からも控えるべきことという意見が多くなっています。特に牛を育てて牛肉を作ろうとすると、畑で豆類を栽培するのに比べてはるかに多くの資源(飼料、水など)を必要とします。また家畜のゲップなどに含まれるメタンガスなど温室効果ガスによる地球温暖化への影響も無視できません(人間の活動で出されるものの方が当然多いですが)。
世界人口は増加の一途をたどっており、それと同時に途上国での肉類の需要も高まっています。魚料理が世界的にブームだと言いながらも、まだ米国などでは相変わらずたくさん牛肉を食べているようです。日本でも魚を食べる人は減っていると言われています。一度お肉を食べるようになると、なかなかそこから離れられないようです。このままいくと、世界の需要を満たすお肉の生産は不可能になるのではないかと危惧されています。
そこで現れたのが昆虫です。昆虫は蛋白質が豊富であり、飼育にも牛に比べて格段に少ないエネルギーや狭い場所しかとられないそうです。注意しなければいけない点は細菌、ウイルス、寄生虫といった感染症ですが、それも適切な飼育環境と処理で問題ないものにできるそうです。そうは言ってもすぐに広まることは難しそうで、その最も大きな問題は「虫を食べる」という心理的な面を克服できるかどうかなのかもしれません。
もっとも食虫文化は世界各地にあり、日本でもハチの子やイナゴなどを食べる習慣は今でも残っています。最近欧州ではすでにコオロギの粉末入りクッキーなどが販売され始めたようです。そのうちにレストランで「メインは牛肉にしますか?それとも昆虫にしますか?」と聞かれる日が来るのかもしれません。

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