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糖尿病治療の効果

[2020.04.24]
新型コロナウイルスがますます勢いを増していて、大半の人が不安を感じながら日々を過ごしているのだと思います。糖尿病や高血圧など持病があれば悪化や死亡のリスクが高いことも言われているので、当てはまる人はさぞかし心配されていることしょう。3密が正しいかどうかはさておき、人との接触を極力断ち、手洗いをまめに行うといった感染予防は間違いなく大切です。

コロナがどういう状況になろうとも、糖尿病など慢性疾患の治療は今まで通り続ける必要があります。コロナはいつかは落ち着きますが、慢性疾患は消えてなくなることはありません。放っておけば必ず悪化します。糖尿病などの悪化はウイルス感染に対して不利になる可能性もあります。1日中家にいなければならないとなると運動不足にもなりますし、食べ物の誘惑にも常にさらされることになります。このあたりに多少の緩みが出ることは致し方ないとしても、薬を勝手にやめてしまうということだけはいないように気を付けましょう。

糖尿病の治療は目や腎臓の合併症を抑えることはもちろんのこと、心臓病や脳梗塞を予防するということまでを目標に行います。一部の薬が脳梗塞を増やしてしまうという可能性が言われているものの、多くは治療により心筋梗塞や脳梗塞を減らしているということが最近の研究で示されています。また自分で取り組む減量や、体重を減らす作用のあるGLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬は心不全を減らすことも報告されています。これらの効果は治療を続けてこそのものと言えます。

GLP-1受容体作動薬(ビクトーザ、トルリシティなど)は血糖値を下げながら体重も減らし、心血管病にも予防効果があるという薬です。今後もさらに大きな効果が期待されるセマグルチド(オゼンピック)というGLP-1受容体作動薬も使われ始める予定です。これらは今のところ自己注射薬ということが、使用のハードルを少し高くしてしまっています。ただセマグルチドは内服薬も開発されており、日本での臨床試験の結果も今まで使用されている注射薬と同等かそれ以上の効果が得られるというものでした。

しばらく前までは糖尿病治療薬は体重が増えてしまうものが主に使われていましたが、ここ何年かで大きく変化しています。そしてそれらが血糖値を改善するだけでなく、心臓病や脳卒中をも減らすという時代に(ようやく)なってきています。何十年と投薬内容が変わらず(もちろん良い薬もあります)体重や血糖コントロールで悩んでいる人は、薬を見直してもらうと良いかもしれません。
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