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胃癌で死なないために・・ニンニクを?

[2019.09.12]

癌は不治の病として昔から恐れられてきました。しかし近年では、診断や治療の進歩などにより、必ずしも罹ってしまったらお終いというものではなくなってきています。さらに原因となるものがわかってきているものもあり、ある程度は予防可能であることまでわかっています。
例えば喫煙。肺癌を始め様々な癌を起こすことは科学的データや統計学的データから明らかです。禁煙は当然のことながら癌を減らし、ついでに動脈硬化や呼吸器疾患も減らすことから寿命が延びます。それでもいまだにこの事実を理解しなかったり認められなかったりする人がたくさんいますが・・。
また野菜や果物をしっかり食べる、太らない、お酒を控える、塩分を減らすといったことも癌の予防に繋がると考えられています。
子宮頸がんも予防できる時代になっています。HPVというウイルスが癌の発生を促してしまうのですが、今ではこのHPVに対するワクチンがあるため、10代の早い時期までに接種できればかなりの確率でウイルスの感染が予防できます。欧米ではこれらのワクチンの頸がんやその前病変の予防効果を示す研究結果がかなり揃ってきていますが、日本ではWHOの勧告にもかかわらずいまだに厚労省が推奨しないという状況が続いています。このままだと数十年後にワクチンを行っている欧米諸国などと、頸がんの発症率で大きな差が出ると予想されます。(本庶先生もノーベル賞受賞の会見でこのことに触れていましたが、きちんと報道したマスコミはほとんどなかったようですね。)
胃癌もまた予防の時代に入っています。今では多くの人が知っていますがピロリ菌が胃癌の発生に大きく関わっています。アジアの国々、特に日本や韓国では胃癌の発症率が非常に高いですが、ピロリ菌の感染率も特に年配者で高くなっています。ピロリ菌はかなりの高率で除菌できるのと、若い世代ではピロリ菌の感染も少ないことから、今後胃癌は減ってくるものと予想されます。
中国のある地域で胃癌に関する興味深い研究がなされています。ピロリ菌陽性の人を対象に、➀ピロリ除菌➁ビタミンのサプリ(ビタミンC、Eやセレンなど)➂ニンニクのサプリ、の3群に分け長年の経過で胃癌の発症や死亡を観察しています。結果は➀➁では胃癌の発症が減っていますが、➂のニンニク群では減っていませんでした。しかし胃癌での死亡率は➀➁➂どれもが減っていました。
ニンニクやブロッコリーといった野菜がある程度癌を抑制するだろうということは、過去の研究結果から言われています。今回の結果ではニンニクの癌発症抑制効果は示されなかったものの、癌死亡を減らす可能性はあるのかもしれません(そしてビタミン類にはその両方があるのかも)。ニンニクといえばイタリア料理!(という私の勝手な思い込み!笑)。ということで調べてみたのですが、残念ながらイタリアは胃癌の有病率がフランスやイギリスよりも多いようです(もちろん日本よりは格段に少ないですが)。それはおそらくピロリ菌の保有率と関係するようです(英仏より高い)。
皆さんはピロリ菌が自分の胃袋に住んでいるかどうかご存知ですか?やみくもに除菌を勧めるものではありませんが、これだけ胃癌の多い国の住人であれば一度はチェックを受け、ピロリ菌がいるようであれば除菌するかどうかを考えてみても良いかと思います。ニンニク料理もお忘れなく。

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