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豊かさの副産物

[2017.10.19]

しばらく前まで世界では低栄養、感染症、出産(から間もない母児)といったことに関連した死亡が多い時代が続いていました。もちろん今でも少なくはありません。特に紛争地帯では手に入る食べ物は減り、衛生環境も著しく悪化するため、戦闘に関わらなくても命を落とす危険が高まります。
一方で、この数十年の間に世界的に子どもたちの間にも肥満が増えてきました。小児肥満は欧米ではかねてから問題視されており、その伸びがやっと止まった感があります。しかし例えばお隣の中国では小児肥満がかなりの勢いで増えているとされるように、今までどちらかと言えば低栄養が問題であった国や地域で今度は栄養過多に悩まされるようになってきています。
中国では大人の糖尿病患者も1億人を超え、またインドも糖尿病患者が激増しています。ともに30年ほど前までは糖尿病は人口の1%程度でしたが今や10%を超えるところまで増えています。他のアジアの国々でも糖尿病は増えており、しかしその治療が追い付いていないということもまた問題を大きくしています。
いつでもどこでも安全な飲み水と食べ物が手に入るのはとてもありがたい状況です。これが当たり前のことになりすぎて、今度は日本を含めた多くの国で食べ過ぎによる病気と闘わなくてはならなくなりました。さらに食べきれない量の食品を製造し、店に陳列し、購入するため、いろいろな所で食料を大量に廃棄するという事態も起こっています。このようなことをいつまでも続けているわけにはいきません。食品会社も、お店も、そして消費者も考え直さないといけない時に来ています。

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