子どもにエナジードリンクはダメでしょ
柿が赤くなると医者が青くなり、受験生は白くなる、とまで言うかどうかはさておき、受験を控えた子どもやその家庭は大変な思いをする時期になりました。身の丈に合った受験をするかどうかは受験する側の勝手ですが、健康を損なうようなことになると受験だけでなくその後の人生にも響いてしまうことがあるので、くれぐれも無理はしないようにしてもらいたいものです。
先日受験生の子を持つ知り合いから、「子どもが塾からリポビタンDみたいなものを何本かぶら下げて帰ってきた」という話を聞きました。塾がそんなものを購入して生徒に渡すということは考えにくいので、メーカーからの供与なのかと思いますが、だとすればそんなマーケティング戦略をとるメーカーのやり方は少し考えものです。そんなものを平気で渡す塾の無神経さにも呆れますが・・。
そういえば最近のオロナミンCのCMも、女子高生(たぶん)が元気に水辺を走り回り、商品を飲むというものになっているのを電車内で見かけて驚きました。オロナミンCと言えば大村崑さん!というぐらいオジサンの飲み物だったはずなのに、いつの間にかターゲットを若い女子にしていたのですね。
これらはどちらも若いうちに味を覚えてもらい、永く愛飲してもらおうという願望が透けて見えてきます(もしかして私だけ?)。しかしこれらは大人にも特段勧められるものではありませんし、少なくとも子どもたちに飲ませることはやめておいた方が良いでしょう。オロナミンCのHPを見たら、小さな子どもたちが笑顔であの茶色の小瓶を持ってはしゃいでいる写真がたくさん載っており、そのミスマッチ感たるやハンパありません。
リポビタンDやレッドブルなどに代表されるエナジードリンクが健康を害するということが、様々な研究で報告されています。特に若者が飲んだ時の影響は大きと考えられ、現在では世界中で危惧されています。そこに含まれる糖分、カフェイン、タウリン(1000㎎配合!なんて威張っていますが、今のところ良いとも悪いとも判別できない)などが、心臓や脳、代謝に影響を与える(だいたいは悪い方向に)ことが知られています。勉強中に眠気を吹き飛ばそうとエナジードリンクを飲むと、束の間は元気になった気がしますが、結果的に良い睡眠が得られず、知識も定着しない(そしてまた勉強時間が増える)という悪循環を起こす可能性もあります。
オロナミンCにしても、こちらはカフェインなど入っておらず、ただ糖とビタミンが入っているだけのものですが、糖分やビタミンの過剰摂取に繋がるかもしれないというだけのものです。普通に食事ができていればビタミンBやCなどの不足になることは現在の日本では考えにくく、必要性は極めて低いと言えます。というか、子どもに飲ませちゃダメでしょ。
これから受験や人生の荒波の漕ぎ出していく子どもたちにとって必要なものは、ちゃんとご飯を食べることと、よく眠ること、体を動かして遊ぶことです。でももしあなたが本当に荒波に漕ぎ出して長い航海に出るというなら、オロナミンCは壊血病などの予防には役立つことでしょう(昔は長い船旅の途中、ビタミン不足でたくさんの人が亡くなっていたのです。オロナミンCさえあったなら!)。ちょっと荷物が重くなりますが、携行することを強くお勧めします。メーカーにお願いすれば、うまくいけば協賛してくれるかも。