脳卒中のその後
久しぶりに同年代の知人にあった時のこと。「久しぶり。元気そうで」と型通りの挨拶をしたところ、「いや、実は少し入院していてね」というお話。聞けば脳梗塞を起こし、しばらく治療とリハビリを受けていたということでした。幸い症状は軽く、麻痺もほとんど残すことなく軽快していました。子育ての真っ最中で、まだまだ死ねないということで、生活を見直し体をいたわるようになったそうです。
そうか、自分たちもこういう病気をする歳になったのかと、改めて感じました。そういえば患者さんからも、「会社の同僚が何人も病気で倒れた」「血圧が高いのに治療していなかったら、降圧薬を飲んでいる友人たちに治療を受けないとダメと言われた」というものから、「遊び仲間がどんどんあの世へ行く」といったものまでいろいろ聞きます。自分は大丈夫なのだろうか、と心配になるのでしょう。
若くして(50歳未満)脳卒中を起こした人が、10年15年といった時間経過のうちにどういった転帰をたどるのかを調べたオランダでの研究結果があります。それによるとこういった人たちは普通の人に比べて、15年後でも死亡率は高くなっていました。その原因は脳卒中の再発やその他の心血管病、それに癌といったものでした。
大病をしてしばらくは品行方正な生活を送っていても、そのうちに「喉元過ぎれば熱さ忘れる」という人も少なくありません。喫煙を再開する、深酒するようになる、運動をやめてしまうといったことがしばしば見受けられます。しかし大病の多くや、それだけでなく例えば糖尿病を持っているといったことだけでも、いろいろな病気に罹りやすく、死亡率も高くなります。何年間か無事に暮らせると、もう普通に戻ったような気になるものなのかもしれませんが、人一倍注意が必要であることを忘れないようにしたいですね。